Journal of UOEH
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下垂体後葉ホルモン・オキシトシンと疼痛ならびに炎症調節作用との関連
松浦 孝紀元嶋 尉士川﨑 展大西 英生酒井 昭典上田 陽一
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2016 年 38 巻 4 号 p. 325-334

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抄録

下垂体後葉ホルモンの一つであるオキシトシン(oxytocin: OXT)は,視床下部室傍核(paraventricular nucleus: PVN)および視索上核(supraoptic nucleus: SON)の大細胞性神経分泌ニューロンの細胞体で産生され,下垂体後葉(posterior pituitary: PP)に投射した軸索終末より血中に分泌される.OXTの生理的役割として子宮収縮,乳汁分泌が古典的に知られてきたが,近年では社会性や信頼関係にも関与していることが明らかになってきた.また,鎮痛,抗炎症,ストレス緩和ならびに摂食抑制作用なども有することが示唆されている.なお,OXT受容体は侵害受容情報の伝達に重要な脊髄後角にも存在することが報告されている.PVNの大細胞性領域の神経分泌ニューロンで産生されたOXTはPPより血中に分泌される.一方,PVNの小細胞性領域のOXTニューロンは延髄および脊髄にもその軸索を投射しており,自律神経系や疼痛調整に関与していると考えられているが,詳細な機序については不明なところが多い.本稿では,これまでの臨床研究ならびにOXT-単量体赤色蛍光タンパク1(monomeric red fluorescent protein 1: mRFP1)トランスジェニックラットを用い,急性ならびに慢性疼痛・炎症モデルラットの視床下部神経核・PP・脊髄におけるOXT-mRFP1融合遺伝子の発現動態を可視化・定量化した自験例(動物研究)を中心に,OXTと疼痛ならびに炎症調節作用との関連について解説する.

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© 2016 産業医科大学
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