抄録
白内障患者の術前と術後に, レンズ蛋白を使って, リンパ球幼弱化試験を行い, 免疫応答の変化を検討した. これを術式により, 嚢内摘出術グループと嚢外摘出術グループに分けて比較してみると, 嚢内摘出術をうけた患者は, 術後, 全例が免疫応答の低下を示し, 嚢外摘出術をうけた患者は, 術後, 多様な変化を示した(2名が低下, 4名が上昇). 両手術法の間における, 患者の免疫応答に有意の差がみとめられたことより, レンズ蛋白が, 眼内にとりのこされる可能性のある嚢外摘出術患者においては, 手術侵襲による炎症の存在と前房内のレンズ蛋白の存在とにより, 免疫反応がひきおこされる可能性のあることが示唆された.