Journal of UOEH
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ヒトミエローマ蛋白と正常免疫グロブリンとの交差イディオタイプについて
中村 弘杉浦 勉西村 義久
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1982 年 4 巻 3 号 p. 255-271

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抄録

2種類のヒトミエローマ蛋白Shi (IgG1λ) およびFuk (IgG1κ) に対するヤギおよびウサギ抗血清から, 抗イディオタイプ抗体を精製し, Sepharose4Bに結合した不溶性免疫吸着体を作成した. 正常ヒトIgG中の微量成分がこれらの吸着体に特異的に結合することを確かめ, 実際に結合成分を分離して, その免疫化学的性質を検討した結果, ミエローマ蛋白と同一のL鎖タイプを持つIgG分子で, 対応するそれぞれのミエローマ蛋白とのみ交叉イディオタイプを示すことがわかった. また結合反応の阻害効果の程度が用いた正常IgGの標品によって異なることから, 遺伝的に複雑なヒト集団における正常IgGの構成分子の中に, ミエローマ蛋白と類似のイディオタイプを持つ成分の存在が示され, これらの結果について正常IgGの生理的意味と, その構造分散性の遺伝的背景との関連から考察を行った.

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© 1982 産業医科大学
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