Journal of UOEH
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男性勤労者において家庭外の受動喫煙の曝露頻度は喫煙状況に関係なく1秒率の低下に影響する
井元 淳 大和 浩道下 竜馬姜 英西山 信吾福田 里香出口 純子
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2019 年 41 巻 1 号 p. 15-24

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抄録
加齢に伴う呼吸機能の低下は慢性閉塞性肺疾患(COPD)の発症や高齢者の死亡リスクに繋がるため,若い世代からの呼吸機能低下の予防が求められる.本研究では身体組成や生活習慣の影響を考慮した上で,気道の閉塞によって引き起こされる閉塞性換気障害の指標である1秒率に影響を与える要因を検討することを目的とした.5企業の男性従業員262名を対象とし,喫煙状況,現在や過去の受動喫煙の有無,家庭外での受動喫煙の曝露頻度,身体活動量(PA)などを含む生活習慣を聴取した.また身体組成や呼吸機能を測定した.統計学的分析は得られたデータについて非喫煙者との比較をロジスティック回帰分析で年齢を調整して検討した.さらに,年齢,身長,喫煙状況,また生活習慣を調整変数とした重回帰分析により1秒率に影響を与える要因を検討した.年齢で調整したロジスティック回帰分析の結果,現喫煙者と重喫煙者は体脂肪率,内臓脂肪面積,喫煙者との同居率,家庭外での受動喫煙の曝露頻度が有意に高かった.またPAは現喫煙者と重喫煙者で有意に低く,1秒率は重喫煙者で有意に低かった.重回帰分析の結果,1秒率に関連する因子として家庭外での受動喫煙の曝露頻度のみが抽出された.COPD発症の予防策として企業内で健康管理に従事するものは喫煙者,特に重喫煙者への禁煙指導とともに,喫煙者,非喫煙者に関係なくすべての勤労者に受動喫煙を避けることを心がけるよう指導することが重要である.
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© 2019 産業医科大学
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