2020 年 42 巻 4 号 p. 365-369
症例は73歳,女性.造影CTで下行大動脈に接する腫瘍を認め,気管支鏡検査で原発性左肺癌(Adenocarcinoma,cT3N0M0,stage IIB)と診断された.大動脈壁への腫瘍浸潤が疑われ,腫瘍浸潤の評価のため,ダイナミック4-dimensional-computed tomography(4D-CT)検査を行った.腫瘍の大動脈浸潤は否定的であったため,手術を行う方針となった.術式は胸腔鏡下左下葉切除とリンパ節郭清を行った.腫瘍は大動脈には全く浸潤しておらず,腫瘍の大動脈浸潤の有無を正しく評価することができた.ダイナミック4D-CTによる血管浸潤を評価した報告は稀であるため,文献的考察を加え報告する.