Journal of UOEH
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乳癌術後15年以上を経て原発性肺癌と鑑別を要した乳癌肺転移の3切除例
小山 倫太郎 花桐 武志西澤 夏將芦刈 周平西中 秀和山崎 徹
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2021 年 43 巻 2 号 p. 271-276

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抄録

乳癌術後長期経過後に再発した肺転移3例を経験したので報告する.症例1:77歳女性.15年前に右乳癌に対して乳房温存療法を施行された.他疾患加療中のCTにて左肺下葉に結節を指摘され当院にて手術を施行した.術中迅速病理検査はカルチノイドの診断であり,胸腔鏡下左肺下葉切除を施行した.最終病理検査では乳癌肺転移と診断された.症例2:88歳女性.23年前に左乳癌に対して乳房切除術を施行された.その後のCTにて左肺上葉に結節を指摘され,胸腔鏡下左肺上葉部分切除を施行した.病理診断は乳癌肺転移であった.症例3:78歳女性.29年前に右乳癌に対して右乳房切除術を施行された.腹痛時に施行したCTにて右肺上葉の結節を指摘され,胸腔鏡下左肺上葉切除を施行した.術後病理検査で乳癌肺転移と診断された.乳癌の肺転移はしばしば画像検査で原発性肺癌と区別が難しい場合が多く,乳癌の既往があれば無病生存期間15年以上経過していても乳癌再発の可能性を考慮することが必要である.

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