Journal of UOEH
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14日間, 31気圧での滞在と赤血球脆弱性
白木 啓三佐川 寿栄子今田 育秀中山 英明
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1983 年 5 巻 1 号 p. 35-47

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抄録
31気圧にて14日間飽和潜水を行った際の血液学的な変化および赤血球の脆弱性を赤血球膜の脂質との関係において研究した. 31気圧では当初血液濃縮がみられ, これは尿量の増加の結果であると推定された. 赤血球の脆弱性および膜脂質構成成分は日による変動がかなり見られたが, これらの変化は気圧の変化とは直接連動しなかった. 赤血球の脆弱性と膜のphosphatidyl choline分画および血漿中の総cholesterol量とは有意の相関がみられた. 今回みられたこのような相関は気圧の変化によってのみみられるものではなく, むしろ個人差, 日変動等の要因によっても起こる脆弱性の変化は膜および血漿の脂質成分の変化によって惹起するという事実を裏づけたものである. 今回の実験ではヒトが31気圧ヘリウム環境に長時間滞在しても血球の機能には変化がみられないことを実証した.
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© 1983 産業医科大学
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