Journal of UOEH
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粉じん作業従事労働者の肺機能の経過観察
―北九州におけるじん肺有所見者を中心にして―
馬場 快彦岩尾 総一郎児玉 泰
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1983 年 5 巻 3 号 p. 351-358

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抄録

じん肺法の胸部エックス線写真の像で "第1型" に分類された121名の粉じん作業者に対し, 1978-1980年の肺機能指標(% VC, FEV1.0, FEV1.0%, V25/H, V50/V25)の変動と各指標と年令, 粉じん作業歴, 喫煙歴, 職種などとの関連を解析した. 対象者の平均年令は1978年の時点で48.0±5.5才であり, 平均粉じん作業歴は21.6±6.8年であった. 喫煙者は82名で総喫煙量の平均は24.7箱/日×年であった. 各肺機能指標に, 喫煙者, 非喫煙者間で差を生じなかった. しかし, 喫煙者群では1秒率の年令に対する回帰直線の勾配が年と共に減少した, 粉じん作業者を職種により8分類した(粉砕, 築炉, 坑内, 石綿, 窯業, 研磨鋳造, 焼結, 溶接). このうち1秒率やV25の経年変化は, 全体の中では坑内が低値であった. しかし分散分析の結果は, この8職種で1秒率, V25/Hに差を認めなかった. 年令要因が肺機能指標を比べる上で大きいので, より長期の観察が必要と思われた.

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© 1983 産業医科大学
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