Journal of UOEH
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粟粒結核症の一剖検例および日本の剖検例に見られる結核症の動向
実藤 隼人安達 博信馬場 謙介織田 進中田 肇林 実
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1984 年 6 巻 1 号 p. 75-86

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抄録
粟粒結核で死亡した79才男性の剖検例を呈示し, 結核の診断における困難さをのべ, 本例における関質性腎炎と化学療法や粟粒結核との関連性, また, 類白血病反応と粟粒結核との関連性などについて考察した. 本例においては, 生前には結核の診断はなされず, 改めて結核の診断の困難さを教え, 原因不明の発熱に対して, 常に本症を忘れてはならないことを教えている. また, 1974年から1981年の8年間における日本病理剖検輯報に記載されている結核を抽出した. この間に施行された235,095例の剖検例中に3,242例の結核が見つかり, 全剖検例中に占める割合は1.4%であった. このうち粟粒結核は618例であった. 結核は抗結核剤の出現により著しく減少したが, 最近は余り減る傾向を示さず, 忘れてはならない重要な感染症の一つである.
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© 1984 産業医科大学
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