Journal of UOEH
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ペニシリナーゼ産生淋菌とペニシリナーゼ非産生淋菌の混合感染による淋疾の一例
吉田 真一占部 慎二水口 康雄
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1984 年 6 巻 1 号 p. 87-90

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抄録

ペニシリナーゼ産生淋菌 (PPNG) は東京, 大阪, 福岡など各都市でprostituteを中心に定着しており, 分離される割合は淋菌の10-15%である. この報告の23才男性淋疾患者から分離された淋菌は最初, 迅速ヨード法によりペニシリナーゼ産生が陰性であったのでnon-PPNG株によるものと思われた. しかし7日間のアンピシリン服用によって症状が改善せず再度分離した淋菌は, 迅速ヨード法でペニシリナーゼ産生が陽性となった. 患者は治療中の再感染を否定しているので, 最初non-PPNG株に混じっていた少数のPPNG株がアンピシリン治療により優位となって, 迅速ヨード法が陰性から陽性に変ったと考えられる. 病原菌の複合感染が最近問題となっているが, 淋疾においてもこのような複合感染がみられるので治療上注意を要すると思われた.

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© 1984 産業医科大学
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