Journal of UOEH
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理想社会への模索
―移民の合衆国社会への同化―
大石 真一
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1984 年 6 巻 1 号 p. 109-120

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抄録
およそ百年余り(1815-1920年代)の比較的短期間に約三千万のヨーロッパ系移民が合衆国に流入してきたことは, 強力な社会の構築を目指す米国民にとって大きな挑戦であった. 「新移民」は新しい文化に同化するという挑戦に遭遇し, 「生粋のアメリカ人」は, アングロ・サクソン文化を基礎とした理想社会の構築を希望していたが故に, 「新移民」の持ち込む多様な文化によって, アングロ・サクソン文化の優越性が挑戦をうけているとみなした. 「生粋のアメリカ人」と「新移民」とがこの問題にどのように直面したのかを理解するために, 本論では,徹底的同化論, 人種のるつぼ論,文化的多元論の三つの主要な見解を検討する. 合衆国社会はなぜ人種のるつぼとして融合しなかったのか, また, なぜ今後もそうならないのかということについての論者自身の理由および, 理想社会の実現に向けて異文化社会がとるべき最善の方法と論者が考える内容に関しては, これを結論の中で述べることとする.
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© 1984 産業医科大学
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