抄録
近年のシステム科学の発展はめざましいものがあり, ヘルスケアの分野においても現在までに数多くの研究がなされてきている. 第3回「ヘルスケアのシステム科学」国際会議が1984年7月に西ドイツのミュンヘンで開催され, 世界各国から数多くの研究者を集めた. 著者もこの会議に参加し, ヘルスケアの分野でシステム科学が広範囲に用いられていることを学んだ. しかし, システム科学者の立場からみると, 健康度指標の選択, 公共意志決定の方法, 一般システム理論とその応用, 発展途上国におけるヘルスケアのシステム的接近という点で今後さらに研究の余地を残しているものと思われる.