Journal of UOEH
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冠動脈閉塞から冠血流再開までの心筋不可逆性変化に対するCoQ10の影響
石倉 義弥小田桐 重遠永田 真人長野 忠吉松 博
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1986 年 8 巻 1 号 p. 19-25

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抄録
急性虚血による心筋の不可逆性変化に至るまでの移行時間に関するCoQ10の作用について, 雑種成犬を用い検討した. 冠動脈遮断前後にCoQ10を経静脈的に投与した群とPlaceboを投与した群で, 一定時間冠動脈遮断後に血流を再開させ比較検討した. 1)血行動態および生化学的検索では両群間に有意差はなかったが, 梗塞群と非梗塞群ではGPT(P<0.05), ピルビン酸(P<0.025)で有意差がみられた. 2)TTC法による心筋梗塞の有無では, CoQ10群で冠動脈遮断90分でも梗塞を生じないものが9例中8例に対し, Placebo群では遮断60分で8例中7例に梗塞発生をみた. 4)心筋微細構造でもCoQ10群の90分遮断例では未だ可逆的変化を示したものがあるのに対し, Placebo群では60分遮断で不可逆性変化のものが多かった. 以上の結果から心筋虚血に対しCoQ10はその不可逆性変化へ移行する時間を延長し, 心筋保護に有効であったと思われる.
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© 1986 産業医科大学
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