抄録
痒みを誘発する刺激を分類し, 老年期における痒みとそれらの関係について統計学的解析を行った. 老人の痒みは, 石鹸などの化学的刺激と有意な関係はみられなかった. また, 湿布や絆創膏に過敏であることが, 必ずしも老人の瘙痒を引き起こすことにはならないことがわかった. さらに皮膚への圧迫, 摩擦は老人の痒みとは関係がみられなかった. これに対し, 温暖, 寒冷など温度にかかわる刺激が重要な誘因になることが統計学的にも確証された. また私達の調査で寒冷に過敏であるのは男に多いことが有意に示された. このことは, 老人性瘙痒症が男に多いといわれていることと関係する. これら離散量の解析のために, Kullback-Leiblerの情報量を基礎とした.