Journal of UOEH
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高度な気管支病変を呈したサルコイドージスの一症例
原田 進宮崎 信義城戸 優光山崎 裕
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1986 年 8 巻 1 号 p. 73-78

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抄録
気管支粘膜生検は, 欧米においてはサルコイドージスの診断に有用な方法であると考えられているが, 我が国では本症の気管支病変に関する報告は少ない. 我々は, 高度な気管支病変を伴った, 興味深いサルコイドージスの一症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告した. 症例は40才の女性で, 自覚症状はなく, 健診で発見された胸部のびまん性網状・小結節状陰影の精査を希望して受診した. 気管支鏡検査にて, 気管支粘膜に多数の小結節や黄白色斑, 血管の増生, 怒張, 粘膜の浮腫状肥厚, 葉, 区域気管支の著明な狭窄や変形が認められた. TBLBおよび, 気管支粘膜生検によって非乾酪性類上皮細胞肉芽腫が証明された. また, 肺機能検査にて, 拘束性換気障害, 拡散障害と共に末梢気道障害が認められ, 副腎皮質ステロイド剤の投与により気管支粘膜の病変は消失, 胸部X線像や肺機能所見も改善を示した. 改めて当科に入院したサルコイドージス11症例の気管支鏡写真の見直しにより, 8例にサルコイドージスに起因すると考えられる軽微な粘膜変化が認められた. 気管支粘膜生検は, サルコイドージスの診断上重要な検査として積極的に行うべきであると考える.
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© 1986 産業医科大学
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