抄録
キノホルムが末梢神経挫滅後の再生過程に及ぼす影響は今まで明らかにされていない. 本研究では坐骨神経圧迫挫滅後のラットの腓腹神経再生にキノホルムがどのように作用するかを検討した. 実験群にキノホルム300mg/kg/日を挫滅処置7日前より経口投与し, 対照群との光顕的組織所見を, それぞれ挫滅処置7, 14日後の挫滅部から5mm毎の遠位部で比較した. 挫滅処置7日目の有髄線維再生端は両群共挫滅部より0-5mm遠位部に存在した. 挫滅処置14日目の有髄線維再生端は対照群では15-20mm遠位部に, 実験群では5-10mm遠位部に存在した. 以上の結果よりキノホルムは有髄線維の再生を明らかに抑制した.