抄録
近年, 小児の血圧測定技術の進歩と年令別正常値の確立に呼応して, 高血圧の小児数が増えてきた. これは, 健康児集団ならばこのうちに真の本態性高血圧症がどのくらい含まれているかを明らかにするのが緊急課題であることを示唆しており, われわれもこの調査を進めている. 一方, 症候性高血圧症に対する診断技術も進歩し, 小児期での実態も明らかになりつつある. さらにその治療法も順次確立され, ことに難治性のものもアンジオテンシン変換酵素阻害剤(カプトプリル)によってコントロールが可能となった. この実例として2歳男児の腎血管性高血圧・片腎例, 7歳男児のモヤモヤ病手術後例, 17歳男子の混合結合組織病・クッシング様症候群例を紹介するが, ただしレニン昇圧系への有意の効果(血中アンジオテンシンⅠ・Ⅱおよびアルドステロン各値低下, Ⅰ/Ⅱ比上昇)は第1例のみで認めた. なお, 3例とも最終的治癒を得ることは依然として困難である.