抄録
我々は, 腹痛・四肢のしびれ・脱力感を主徴とし, 他の臨床症状や検査成績より, Bartter症候群と思われる1例を経験したので報告する. 症例は16歳の女性で昭和61年1月頃より四肢のしびれ, 脱力感があり, 6月頃からしばしば強い腹痛が出現するので当科受診, 低K血症, レニンーアンギオテンシン-アルドステロン系の亢進, および正常血圧等の, Bartter症候群に特徴的とされる所見を認め, 精査治療目的で当科入院となった. 入院後アンギオテンシン-Ⅰは高値にもかかわらず, アンギオテンシン-Ⅱおよび血清アルドステロンが正常化し, 腎生検による組織学的検査では傍糸球体装置の過形成がなかったことから, 同疾患とは異なる病態も考えられた. しかしBartter症候群の基本的病因がGillらのCl再吸収障害説にあるとすれば我々の症例も同症候群の1つの表現型であると思われ, この説は複雑な本症候群の病態を類似疾患も含めてほぼ説明し得ると考えるに至った.