住宅建築研究所報
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フランス農村における居住環境の整備改善手法に関する研究
藤本 信義楠本 侑司和田 幸信千賀 裕太郎
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1988 年 14 巻 p. 203-217

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抄録
 この研究は,特に農村におけるストック価値の再評価とその開発保全に目が向けられつつあることに鑑みて,アメニティの確保に関し歴史的なストックを有するフランス農村の,居住環境の実態と整備改善手法とを考察することにより,我が国における居住環境の,今後のアメニティ整備に資する基礎的知見を得ることを目的としている。 研究内容は,①居住環境整備計画の前提となる土地利用計画制度を,フランスの農村整備施策の変化過程に沿ってとらえ,特に農村地域の土地利用計画の立てかたがどのように変わったかを明らかにすること,②居住環境整備計画に関する制度の把握と整備の手法を実態に即して明らかにすること,の2点である。研究成果を要約すると次のとおりである。①地方分権化以後(1981年)の地域整備施策の諸変化の中で,居住環境整備の前提となる土地利用計画は,市町村がこれを定めない限り建設許可が与えられないという強い拘束力をもつものである。②土地利用計画は,面的規制のみならず立体的な規制をも含んでいる。後者は量的規制(容積率・建物の最高高さ)と質的規制(建物外観・大きさ等)に分けられ,景観上の配慮が重視されている。③住宅環境整備計画は,新しい住宅の供給計画と古くなった住宅の改良計画に分けられる。政府施策による住宅供給の柱をなすのが低家賃住宅HLMである。農村地域では共同住宅ばかりでなく,戸建てのHLMも人口維持のために建設されている。④住宅の改良計画に関する事業は,住宅のみならず市街地の公共空地や共同施設を対象として,建物内部の改善による現代的な住要求の充足とともに,建物の外観や町並みを保存する幅広い内容である。⑤全体として,居住環境の整備手法は修復型が重視されており,準備段階の調査はマクロ・ミクロ双方から詳細な分析がなされている。
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© 1988 一般財団法人 住総研
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