2004 年 30 巻 p. 113-124
本研究では,昭和3年から昭和13年まで同潤会が実施した勤人向分譲住宅の基礎研究として遺構調査を行った。具体的には全建設地の悉皆調査,アンケート調査並びに実測調査を行ったこの結果,同潤会の遺構と確認できたものは建設された全戸数524戸のうち29戸であること,遺構の可能性が高いと考えられるものを含めると48戸となることが明らかとなった。また,平面形式の考察の結果,平面形式ま事業草創期である昭和4年の初期形式,昭和4年から昭和7年まで繰り返し使われている複数の共通した基本形式,昭和7年以降自ら特徴と称していた広縁などを取り去った新たな応用形式の3段階の変容がみられることが明らかとなった。