住総研研究論文集
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昭和初期の別荘地開発と住宅地形成に関する研究
鎌倉山住宅地開発にみる住文化の継承と変容
赤松 加寿江片山 伸也水沼 淑子奥山 信治
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ジャーナル オープンアクセス

2012 年 38 巻 p. 113-124

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抄録

鎌倉市南西の鎌倉山住宅地は,上流階級を購買層とする分譲別荘地として昭和初期に開発された。大船‒江ノ島間に日本初の自動車専用道路を敷設し,観光と避暑のための別荘地開発を目指したこの事業は,一方で東海道線を利用した東京までの通勤の利便性を謳った田園都市的側面も併せ持っていた。本研究では,政財界著名人を中心とした株主に優先的に土地を分譲して高級住宅地のイメージを確立する販売戦略と,住民の自治組織による町の運営に焦点を当て,別荘地の開発から住宅地が形成される過程を分析した。別荘地分譲事業そのものは程なく頓挫するが,理想的住宅地を築こうとする住民の意思が,今日に至る鎌倉山の閑静な住環境をつくり出した。

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© 2012 一般財団法人 住総研
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