抄録
本研究の目的は,仙台市荒浜地区における津波被災住民が願う受け継ぎたいふるさと住文化をレジリエントに回復するプロセスを明らかにすることである。受け継ぎたい住文化資源は,「おまかない」等に象徴される相互扶助のライフスタイル,人間と自然の相互応答のライフスタイル,自然の恵みと恐怖の両面を知り共生関係を紡ぐことである。住居レベルの受け継ぎたい住文化は,縁側,土間,続き間などのつなぎ空間,拠り所の獲得,ブリコラージュへの美意識等の精神的側面,みんなの居場所,環境包摂,野生動物との共生等の他の側面にわたっている。住民はふるさとを想起させる活動を定期的に継続している。今は目標に向かって状況を開く過程にある。