抄録
本研究では農山村の空き家の適正管理と活用に対する地域社会が果たす役割を,以下の4 つの視点から明らかにした。1)空き家の把握:広報やアンケート調査による把握,定住世話人による空き家所有者への働きかけがあった。2)物件の現況把握と情報共有:行政担当職員らによる現況把握,地域情報誌による共有,日常的関わりの中での情報集約があった。3)空き家と移住者のマッチング:移住希望者と地域住民が対面する機会の創出,契約時の覚書の作成,家賃交渉への支援があった。4)入居後の生活支援:移住者・地域社会双方への丁寧な説明,地域団体への参画,就職先や農地の斡旋,農産物の販路開拓支援があった。