2018 年 44 巻 p. 97-107
本研究は,外気及び住宅室内に浮遊するエアロゾルの成分分析を実施することで,微小粒子状物質(PM25)を含む大気エアロゾルが外気から室内にどの程度侵入するのかを推定するものであり,より快適な空気環境の獲得に向けた対策提案に寄与することを目的としている。本研究と過去(1996-2004年度)に実施した調査結果との比較から,外気PM25濃度の経年的な減少に伴い,近年は室内のPM25濃度も減少していることが分かった。しかし,硫酸イオン(SO42-)や元素状炭素(EC)等は,外気からの侵入率が高いと考えられた。計画換気が導入された住宅では,給気口付近における外気エアロゾルの侵入対策を強化することで,室内への侵入が抑制されると期待される。