獣医疫学雑誌
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原著
国内生産農場における人工授精と自然交配による繁殖成績の比較
市川 大樹纐纈 雄三
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キーワード: 人工授精, , 繁殖成績, 種付け
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2011 年 15 巻 2 号 p. 94-99

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抄録

本研究は,国内生産農場における雌豚の繁殖成績を,3グループの種付け方法で比較することを目的とした。雌豚の種付け方法による比較には,人工授精(AI)と自然交配(NM)の両方を実施している87農場の生産記録を使用した。生産記録には,未経産豚24,192頭の27,034回の種付けと22,063回の分娩記録,および経産豚35,630頭の100,813回の種付けと85,498回の分娩記録を含めた。1回の種付けは,1発情期間中の2回以上のAIまたはNMと定義した。全ての種付けは,‘AIのみ’,‘NMのみ’,‘AIとNMの併用(CM)’の3つの種付けグループに分類した。統計分析には,ANOVAを用いた。全127,847回の種付け記録において,‘AIのみ’,‘NMのみ’,CMの割合は,それぞれ53.8%,8.6%,37.6%であった。初回種付け未経産豚および経産豚において,分娩割合と生存産子数は‘NMのみ’とCM種付け間で差が見られなかった。初回種付け未経産豚において,‘AIのみ’は,‘NMのみ’種付けと比べて分娩割合が5.9%低く,生存産子数が0.5頭少なかった(P<0.05)。初回種付け経産豚において,‘AIのみ’は,‘NMのみ’種付けと比べて分娩割合が2.2%低く,生存産子数が0.1頭少なかった(P<0.05)。結論として,未経産豚と経産豚の両方の繁殖成績を向上させるためには,国内生産農場におけるAI技術の更なる改善が必要である。

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© 2011 獣医疫学会
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