抄録
昭和56年および57年, 青森県東部に集団発生したアルコール不安定乳 (以下, ア乳) の発生原因を究明するため, ア乳泌乳牛20頭および同居正常牛27頭の乳汁・尿・血清および血液について合計30項目の臨床検査を行い, その成績について多変量解析を試みた。
まず, 30項目のデータの要約化を目的として主成分分析を行ったが, 累積寄与率が80%に達するには第11主成分まで必要であり, 要約化が困難であることが判明した。しかし, アルコールテストに対する因子負荷量は, 第5主成分で比較的大であった。
次に, アルコールテストの成績で牛個体を群別し, 他の29項目の成績およびPLテストの成績を除いた28項目の成績を使用して判別分析を試みた。その結果, 比較的低い誤判別の確率で, アルコールテスト陰性牛群と陽性牛群の判別が可能であった。