抄録
管内の牛乳房炎より分離されたS.auyeusのコアグラーゼタイプ, エンテロトキシン, 毒素性ショック症候群毒素 (TSST-1) の産生性について調べたところ, エンテロトキシンとTSST-1については, 臨床症状別では, その産生性に有意な差は認められなかった。臨床症状を示したものは全体で, コアグラーゼVI型が最も多く (30.9%) , エンテロトキシン産生株は50.6%でそのうちC型が最も多かった (47.8%) 。次いで, TSST-1産生株は, 全体の34.3%あった。農家別では, コアグラーゼタイプ, エンテロトキシンタイプおよびTSST-1産生性に関連して検出される菌は, 農家毎に特定のタイプに片寄る傾向がみられた。以上の結果から, エンテロトキシンとTSST-1は乳房炎の炎症誘起の要因となっている可能性は示唆ました。さらに他の細菌側の因子, あるいは宿主の免疫能が病勢を大きく左右するものと思われた。