2009 年 62 巻 9 号 p. 709-712
2007年,6月沖縄県石垣市で4日齢の黒毛和種の子牛が出生直後から下痢を呈し,その後元気消失,血便を伴い死亡 した.細菌学的検査の結果,主要臓器からVibrio choleraeが純培養状に分離され,血清型別によりO135と同定された.免疫組織学的検査では大脳などの中枢神経系,肺,胸腺を中心に主要臓器にV. cholerae抗原が確認された.分離菌はコレラエンテロトキシンは産生しなかったが,病原遺伝子であるhlyAおよびtoxRを保有していた.疫学調査では当該農場の環境由来材料からはV. cholerae O135は検出されなかった.いっぽう,周辺離島の沿岸域の海水検体からO14,O19,O27およびO170の血清型のV. choleraeが分離された.