日本獣医師会雑誌
Online ISSN : 2186-0211
Print ISSN : 0446-6454
ISSN-L : 0446-6454
産業動物臨床・家畜衛生関連部門
豚の全身性Actinobacillus suis感染症
佐々木 羊介KABALI Emmanuel芝原 友幸小林 秀樹清水 稚恵森田 大輔久保 正法
著者情報
ジャーナル フリー

2011 年 64 巻 5 号 p. 381-384

詳細
抄録

重度の削痩が認められた30日齢の離乳豚を剖検したところ,線維素性胸膜肺炎がみられた.病理組織学的に,肺胸膜,心外膜および腎臓髄質に多数の壊死巣が認められ,その周囲を核が伸長した好中球が層状に取り巻く像が確認された.これらの病変部にはグラム陰性菌塊が認められた.同様の病変は肝臓,脾臓,腸間膜および大脳にも認められた.免疫組織化学的に,このグラム陰性桿菌は抗Actinobacillus suis血清に対して陽性反応を示した.病変部から病原菌の分離培養ができなかったため,ホルマリン固定パラフィン包埋組織切片からDNAを分離した.16S rRNA遺伝子の一部を増幅・塩基配列解析した結果,分離したDNAはA. suisと高い相同性がみられた(100%の相同性,650bp比較).以上の成績から,A. suisがこの子豚に壊死性胸膜肺炎,心外膜炎および腎炎を引き起こしたと考えられた.

著者関連情報
© 2011 公益社団法人 日本獣医師会
前の記事 次の記事
feedback
Top