日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
猫の尿管結石27例
髙柳 明子三品 美夏渡邊 俊文
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2012 年 65 巻 3 号 p. 209-215

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抄録

麻布大学附属動物病院腎泌尿器科にて,過去10年間に尿管結石と診断した猫27例のプロフィールと各検査所見についての検討を行った.海外での報告と同様に,本学においても猫の尿管結石は増加傾向にあった.平均年齢は5.6±2.9歳であり,81.5%が純血種であった.各検査所見から,非特異的な臨床症状,高窒素血症や高カルシウム血症,無症候性の潜血尿,尿中シュウ酸カルシウム結晶の検出は尿管結石を疑う一要因と考えられた.診断には,各種の画像検査の組合せが効果的であった.片側性の尿管結石については,反対側の腎臓において過去に腎実質を傷害する閉塞性又は先天的な腎疾患を有していた可能性が示唆された.摘出された結石は,シュウ酸カルシウムであり,尿路系におけるシュウ酸カルシウム結石の比率の増加に伴い,今後,猫の尿管結石症例が増加する可能性が示唆された.

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