抄録
眼瞼痙攣を主訴に来院した秋田犬を,原因不明の遷延化した両側性汎ぶどう膜炎と診断し,治療を開始した.治療に反応し,良化が見られたが,治療は継続されなかった.視覚消失を主訴に再来院した時には,胞状網膜剝離を発症していた.治療により良化したものの,再度治療は中断された.その後,飼い主が安楽死を希望して来院した時点では,続発性の緑内障を発症していた.安死術後,剖検によりぶどう膜皮膚症候群と診断された.眼球病変部の免疫染色により,虹彩,毛様体及び脈絡膜に浸潤するリンパ球はCD3陽性のT細胞が主体をなしており,これはB細胞の浸潤が主体をなす過去の報告と異なっていた.