抄録
大阪市動物管理センターに収容された犬,猫及び同市内で捕獲したネズミのジフテリア毒素産生性コリネバクテリウム・ウルセランス(Corynebacterium ulcerans)保有状況を調査した.猫137頭中5頭(3.6%)から本菌が分離されたが,犬125頭,ネズミ29匹からは分離されなかった.これらの保菌猫は,すべて健康状態の悪化した猫であった.猫から分離された5株はすべてジフテリア毒素産生性を有し,生化学性状,薬剤感受性パターン,Pulsed-field gel electrophoresis電気泳動及びRibotypingによる遺伝学的性状は一致していた.これらより,大阪市内の猫には遺伝的に同一あるいは近縁なC. ulceransが分布していることが示された.