日本獣医師会雑誌
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小動物臨床関連部門
肝囊胞が認められた遺伝性多発性囊胞腎の猫に対する臨床病理学的検討
小林 沙織佐々木 淳御領 政信内田 直宏井口 愛子山﨑 真大佐藤 れえ子
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2019 年 72 巻 4 号 p. 215-221

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抄録

常染色体優性猫多発性囊胞腎(feline autosomal dominant polycystic kidney disease:fADPKD)は,人ADPKDと類似した病態をとる.肝囊胞を有するfADPKDの猫3例の臨床病理学的検討を行った.肝臓の病理組織学的検査及び肝囊胞液の分析を実施した.3例は,すべてペルシャ種の雄であった.2例の肝臓に限局性で多房状の肝囊胞を認め,1例に大きな単胞性肝囊胞を認めた.大部分の肝囊胞は肝葉辺縁部に位置していたが,組織学的に,微小な肝囊胞が肝実質内にも認められた.肝囊胞は,一層の低立方状細胞で内張りされていた.肝囊胞液は,血清と比べ,K及びBUN濃度は高く,Na,Cl,Cre濃度は類似していた.いずれの症例とも,肝機能低下を示唆する血液検査所見は認められなかった.

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