日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
羊のロウバイ中毒疑い事例
春山 優唯
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キーワード: , 強直性痙攣, ロウバイ
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2020 年 73 巻 5 号 p. 249-252

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抄録

2016年8月,放牧中の羊2頭(コリデール種,4歳,雌)が起立不能,強直性痙攣,呼吸促迫を呈し,血液検査でAST,ALP,CPK,GGT及びLDHの顕著な上昇,総ビリルビン濃度の増加,低Ca血症を認めた.鑑定殺を実施したところ,2頭ともに胃内容濾過物に黒色種子片が散見され,種子は遺伝子検査でロウバイ(Chimonanthus praecox )と同定された.また,発症前日に台風が通過したため,放牧地内には多数のロウバイの種子が落下していた.ロウバイの種子等にはアルカロイドの一種であるカリカンチンが含まれ,動物が摂取するとGABA阻害作用により神経症状を呈するとされている.以上より,本例は国内で初めて発生した,羊のロウバイの種子の摂取による中毒事例と考えられた.

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