2021 年 74 巻 9 号 p. 539-546
ホルスタイン種経産牛の分娩後の血中カルシウム(Ca)濃度に及ぼすゼオライトA給与の影響を明らかにする目的で,分娩前3週間ゼオライトA(400g/日)を給与した給与群(27頭)とカチオン・アニオン差(DCAD)調整飼料(−3.2mEq/100g)を給与した対照群(22頭)の血液性状を比較した.血清Ca濃度の推移に差がなく,活性型ビタミンD濃度は給与群において分娩当日に有意な高値を示した.両群とも分娩日に血清Ca濃度が低値を示した牛は,翌日正常値に回復した.給与群は血清遊離脂肪酸濃度が高く,総コレステロールとアルブミン濃度は低く推移した.分娩前3週間のゼオライトA給与は,DCAD調整飼料の給与と同程度に分娩後の血中Ca濃度の低下を軽減する効果があり,分娩性低Ca血症の予防に応用可能と考えられた.