日本獣医師会雑誌
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産業動物臨床・家畜衛生関連部門
大転子移動術により治療した子牛における股関節脱臼3症例
田村 倫也工藤 力庄野 春日坂本 沙織尾形 透吉田 晴香千葉 恵樹
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2023 年 76 巻 5 号 p. e116-e121

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抄録

子牛の股関節脱臼3症例に対し大転子移動術による治療を実施し長期経過を観察した.症例は1~85日齢で発症し,全例が前背方脱臼と診断され,発症から手術までの日数は9~16日であった.手術は全静脈的鎮静不動化処置の下に実施し,頭外側アプローチにより股関節を露出させ脱臼を整復,切断後の大転子は遠位に移動させスクリュー及びテンションバンドワイヤーを用いて大腿骨へ固定した.全例で術後14日目までに支柱肢跛行が消失した.症例1は経過中に他の外傷を発症し早期淘汰された.症例2は19カ月齢,症例3は31カ月齢まで良好に発育し,子牛の股関節脱臼に対する大転子移動術の有用性が示唆された.

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