抄録
正常犬の血清および組織中のアミラーゼ活性およびそのアイソザイムを.それぞれ自動分析装置を用いたamyloclastic methodおよびセルロースアセテート膜 (Titan III-Lipo) を用いた電気泳動法によって調べた.血清アミラーゼ活性値の正常範囲 (Mean±2SD) は.種々の品種の成犬121頭と実験用ビーグル成犬59頭では, それぞれ462-1, 132および469-1.257アミラーゼ単位 (Smith Roe単位) であった.血清アミラーゼ・アイソザイムは.実験用雑種成犬38頭中5頭および実験用ビーグル犬59頭中12頭に主として4つのピークが認められ, 陽極よりそれぞれamylase-1, 2, 3, 4と命名した.それらの正常範囲は.雑種成犬ではそれぞれ0.10.9-22.0.3.7-17.8, 61.4-87.5%であり, 実験用ビーグル犬ではそれぞれ0-3.2, 0-27.7, 5.5-16.8, 59.2-84.3%であった.
検索したすべての組織抽出液には, 膵臓.腎臓, 卵巣, 十二指腸, 肝臓.子宮, 下顎腺, 心筋, 骨格筋の順でアミラーゼ活性が認められた.しかし, 膵臓以外のそれらの値は低く.血清と同程度の活性かそれ以下であった.下顎腺を除くすべての組織抽出液には.血清と同様3つ, または4つのアミラーゼ・アイソザイムが認められた.しかし膵臓では, すべての検体でamylase-4の陰極側に新たなバンドが認められ, これをamylase-5とした.十二指腸, 子宮, および卵巣のあるものでもamylase-5が認められ, その他にamylase-3と4との間にも別のパミンドが認められ, amylase-3bとしたが, これらの値は低かった.