1987 年 40 巻 12 号 p. 842-845
性周期の各時期における雑種成犬27頭を用いて, 自然症例の犬子宮蓄膿症から分離培養した大腸菌を子宮頸管を結紮した子宮内に接種することによって, 実験的に犬子宮蓄膿症を作成した. これらについて菌接種後3日で結紮を解除し, その後子宮蓄膿症が持続するか否かを検討した結果, おおむね次のような成績が得られた.
1) 子宮蓄膿症は菌接種後3日で全例 (27例) に認められたが, 結紮を解除した場合に, 菌接種後12日では16例59.3%に減少した.
2) 菌接種12日後の各性周期における発症率は, 発情前期ないし発情期ならびに発情休止期においてはおのおの100%であったが, 無発情期と分娩後修復期ではそれぞれ80%, 28.6%に低下した.
3) 結紮を解除することによって, 無発情期と分娩後修復期においては子宮蓄膿症は治癒に向かう傾向が, また発情前期ないし発情期および発情休止期においては逆に充進する傾向がみられた.