抄録
犬, 猫の避妊手術に起因する弊害を知る目的で, 当家畜病院で過去9年 (猫の場合は8年) の間に卵巣割去術, もしくは卵巣子宮全摘出術を受けた雌犬95頭, 雌猫162頭の畜主にアンケート調査を行った.
その結果, 手術後に子宮蓄膿症候群を発症したものは犬, 猫ともに0%, 乳房 (腺) 腫瘍の発症はそれぞれ1.6%, 2.0%と低かった.
しかし, 手術後に体重が手術前に比べて1.5倍以上になったものは10.9%(犬), 6.7%(猫) にみられた. また, 脱毛や皮膚病, 尿失禁や尿閉の発症が, 犬・猫ともに少なからず認められた. さらに, 不可能であるにもかかわらず, 産子を得たいとする畜主 (犬で19.4%, 猫で9.4%) が少なくないことが注目された.