日本獣医師会雑誌
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長期間観察した乳牛の中足骨骨折の1例
佐藤 基佳三宅 卓夫宮原 和郎広瀬 恒夫
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1992 年 45 巻 8 号 p. 547-550

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抄録

ホルスタイン種, 雌, 20カ月齢の中足骨斜骨折症例に対して, 14mmと10mmのV字型骨髄ピン2本を用いて内部固定と塩化ビニール管 (塩ビ管) を利用した副子包帯を併用した治療を実施した. 破行は徐々に消失し, 術後4カ月には軽度の跛行を後遺するのみとなり, 1年後にはほとんど認められなかった. 術後5.5年後に残置骨髄ピンの介入が原因の一つとして考えられる趾関節に波及した骨新生に伴う跛行が再度出現したため, 最終分娩後の8歳で廃用とされた. この間, 患畜は繁殖成績では5産 (6子) と年間平均乳量では8, 618kgを生産した. このことは, 本症例が上記の治療によって何らの影響も受けず, きわめて良好な状態にあったことを示唆するものであり, 積極的な治療処置によっても採算性があると考えられた.

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