犬の赤血球に結合しているIgG, IgMおよび補体 (C3) を, 抗体解離法と酵素免疫吸着測定法 (ELISA) を組み合わせて測定した. 臨床的に健康な犬の赤血球に結合しているIgG, IgMおよびC3の濃度を求めたところ, 吸光度の平均はそれぞれ0.098±0.029, 0.028±0.007, 0.08±0.031であった. 本法によって塩酸フェニールヒドラジン投与犬における赤血球結合IgGならびにC3濃度の変化を確認することができた. 自己免疫性溶血性貧血を疑った犬では8例中6例で赤血球に結合したIgGならびにC3が増加し, 天庖瘡の疑われた例でもその値が高かった. 一方, 腫瘍に伴って軽度の貧血を呈した例の赤血球結合IgGならびにC3は健康な犬の上限に分布する傾向があった.