黒毛和種母牛5頭を分娩後低でんぷん飼料で飼養し, その後にデントコーンサイレージ3kg/日を追加給与した結果, 全頭の子牛は給与開始後1~3日に軽度の糞便性状の変化 (前駆症状) を示し, 5~7日に水様性白痢を発症した. この時, 母乳の乳脂肪率は前駆症状発現当日および白痢発症当日の朝に増加した. 母乳のpHは白痢発症前日に大きく変動した. 乳脂肪中パルミチン酸とステアリン酸は前駆症状発現前日から増加した. 子牛の血中トリグリセライドと遊離脂肪酸濃度は前駆症状発現当日に低下したが, 白痢発症前日には元の値に復した. このように母牛の飼料の変更は母乳成分を変化させ, それにより子牛の消化管での脂肪の吸収低下が引き起こされて白痢の発症した可能性が示唆された.