Journal of Veterinary Medical Science
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内科学:猫白血病ウイルスに感染した猫の血液疾患におけるクローナリティ解析
久末 正晴西垣 一男片江 宏巳由里 和世水野 拓也藤野 泰人瀬戸口 明日香長谷川 篤彦亘 敏広増田 健一大野 耕一辻本 元
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2000 年 62 巻 10 号 p. 1059-1065

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抄録

猫白血病ウイルス(FeLV)感染に関連した猫の血液疾患の病態を理解するため,FeLVの組み込みを検出することによって,骨髄細胞のクローナリティの解析を行った.外来性FeLVプローブを用いたサザンブロット法を用い,FeLV感染が認められた急性骨髄性白血病(AML)4例,骨髄異形成症候群(MDS)9例,赤芽球癆(PRCA)2例,健常キャリアー3例の骨髄細胞を解析した.その結果,骨髄細胞のクローン性増殖は,AMLの全例およびMDSの9例中6例において確認されたが,PRCA症例および健常キャリアー猫では認められなかった.さらに経過を追って解析した2例においては,再生不良性貧血からMDSへの移行および,MDSからAMLへの移行にもかかわらず,同一の血液細胞クローンの存在が示唆された.本研究の結果から,猫におけるMDSは,血液細胞のクローン性造血に起因するものであり,AMLの前白血病段階であることが示された.

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© 2000 by the Japanese Society of Veterinary Science

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