2000 年 62 巻 10 号 p. 1079-1087
猫IL12p35,p40cDNA全長遺伝子のクローニングおよび動物細胞を宿主とした系での発現をおこない,その生物活性を確認した.さらに,p35cDNA遺伝子を改変することで,生物活性を有する猫IL12の発現量が約100倍上昇した.猫脾臓細胞よりcDNAライブラリーを作成し,ヒトIL12p35,p40cDNAをプローブとして,このcDNAライブラリーのスクリーニングを行った.得られたp35cDNAの3′端には,ヒトやマウスのIL12cDNAには見られないTAの21回の繰り返し配列が認められ,5′端には,開始コドンと同じフレームで2個のATGが認められた.COS細胞にp35,P40cDNAそれぞれの発現プラスミドを同時に導入して得られた培養上清の生物活性の測定を行ったところ,ヒト末梢血リンパ球に対するIFN−γ誘導,CTL増強活性,また猫末梢血リンパ球に対しては,in vitro,in vivoの系でIFN−γ誘導活性を確認した.発現した組換え猫IL12には,分子量75,000と80,000のものが認めれらたが,いずれもin vitroの系でIFN−γ誘導活性を示した.この分子量の違いは,p35タンパクの糖鎖付加の程度の違いであった.p35cDNAの3′および5′の非翻訳領域を削除し,複数のロイシンをコードするコドンを換えることで,発現量が100倍上昇した.