抄録
KK−Ayマウスに発生した水腎症の腎微細血管の変化を光学·電子顕微鏡および樹脂鋳型走査型電子顕微鏡法で観察した.腎実質は髄質の萎縮により菲薄であった.組織学的には種々の段階の糸球体硬化,毛細血管基底膜の肥厚,メサンギウムの増加,上皮細胞突起の融合等が認められた.血管鋳型では,糸球体数の著しい減少,糸球体毛細血管の狭少化·断裂が認められた.髄質では,尿細管に沿って走る毛細血管はその立体構築を消失し二次元的な血管網を形成していた.重度の水腎症であっても残存する糸球体の約60%は微軽度から中度の障害で糸球体毛細血管網は比較的良く保たれていた.