Journal of Veterinary Medical Science
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公衆衛生学:ボツリヌス菌B型神経毒素のラット脳シナプトソームへの侵入
幸田 知子鎌田 洋一小崎 俊司
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2000 年 62 巻 11 号 p. 1133-1138

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抄録

ボツリヌス菌B型神経毒素はSS結合で結ばれた重鎖と軽鎖から構成され,軽鎖の持つ蛋白分解活性により,シナプス小胞に存在するシナプトブレビン2を2つのフラグメントに切断することで神経伝達物質の遊離を阻害する.生じた2つのフラグメントは,いずれもシナプトブレビン2のN末端20残基の合成ペプチドに対する抗体に対する反応性を消失していたことから,切断によりN末端領域の抗原構造に変化を生じていることが示唆された.ラット脳シナプトソーム膜に結合した神経毒素は,膜内で還元を受けた後,シナプス小胞内に取り込まれシナプトブレビン2を切断すると考えられた.また軽鎖が単独で細胞質分画に存在することから,神経毒素はシナプス小胞のリサイクリング機構を利用して小胞内に侵入し,さらに軽鎖は小胞膜を通過することが示唆された.

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