2000 年 62 巻 9 号 p. 941-945
Chlamydia psittaci 7株のcHSP60をコードする遺伝子の塩基配列1,272塩基対を決定し,424残基からなる推定アミノ酸配列を,既報のC.psittaci,C.trachomatisおよびC.pneumoniaeのアミノ酸配列と比較した.クラミジア属の種間において,塩基配列は81.0%以上,アミノ酸配列は92.2%以上の極めて高い一致率を示した.また,cHSP60のアミノ酸配列を大腸菌のHSP60相同体であるGroEL,および枯草菌と結核菌のHSP60のそれらと比較·検討した結果,3つの高度保存領域が見い出された.これらの領域は,蛋白質の構造形成を介助する上で重要な機能を担うことが示唆された.さらに,cHSP60のアミノ酸残基の中で,大腸菌GroELで機能が報告されている28残基を比較した結果,26ないし27残基が一致した.したがって,cHSP60は,大腸菌GroELに類似した機能を保持していることが示唆された.