日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Online ISSN : 1881-1442
Print ISSN : 0021-5295
家鶏の呼吸筋に関する筋電図学的研究
葛野 浩岡田 敏秋
著者情報
ジャーナル フリー

24 巻 (1962) 4 号 p. 215-223

詳細
PDFをダウンロード (1046K) 発行機関連絡先
抄録

安静呼吸時における家鶏の胸部, 腹部および背部にある諸筋の筋電図を, 機械的呼吸曲線を指標とし, 電磁オッシログラフで記録し, 筋と呼吸運動との関係を明らかにした. 誘導電極には, 同心型針電極, あるいは GESELL が用いたいわゆる floating electrode を使用し, 単一 NMU を分離導出した. さらに単一 NMU の放電間隔を測定し, interval diagram を描き, 放電パターンについて検討を加えた. 1) 肋間筋のうち, 第2~4外肋間筋, 内肋間筋の肋軟骨部, および第1, 2内肋間筋の骨部では吸息相に同期した放電が見られた. その他の肋間筋, すなわち第5, 6外肋間筋, 肋軟骨部の筋, および第3肋骨腔以後の内肋間筋の骨部は, 呼息筋であった, ただし, 第5外肋間筋と, この部の内肋間筋の肋軟骨部では, 個体によって, 吸息時に放電が見られることもあれば, また吸息・呼息の両相において, 交互に放電が観察される例もあった. 2) 腹筋は, いずれも積極的に呼息運動に参加する呼息筋であった. 斜角筋, 胸横筋, 肋骨挙筋, 鈎突肋筋からは, 吸息時に放電が見られた. 広背筋, 憎帽筋, 菱形筋など, 背部にあるものでは, 一般に, 呼息相に同期した放電の出現または増加が認められた. 3) 以上の諸筋の interval diagram から示される放電型は, GESELL のいう slowly augmenting pattern である. 多くの呼息筋もこの型を示すことは, 他の動物と異なる家鶏呼吸筋の特微と考えられる. なお肋間にある呼息筋からは,まれに steady-state pattern も検出された. 放電頻度には, かなり広範囲にわたる変動が見られた. 多くの場合, これは1秒5~40回の範囲にあった. 吸息または呼息, いずれかの相に現われる spike の数は, 7~40であった. 4) 家鶏で呼吸運動に関与する諸筋から得られた interval diagram は, 4つの型に分類することができる. A型は, 筋の収縮期間中, 放電間隔が次第に短縮して行く典型的な slowly augmenting pattern である. B型は, 最初の1~2個の放電間隔が短縮しているが, その後はA型と同様の経過をとる型である. C型は,これに反して, 最後の1~2個の放電間隔がやや廷長している型である. B型とC型は, A型の変形と考えられるが, 本実験では, かなり頻繁に認められた. D型は steady-state pattern である(Fig. 7).

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top