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日本獸醫學雜誌(The Japanese Journal of Veterinary Science)
Vol. 35 (1973) No. 5 P 433-446_2

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http://doi.org/10.1292/jvms1939.35.433


四足獣の歩行運動の研究は,19世紀以来科学的に研究されてきているが,ほとんど解明されていないというのが現状である.今回著者は,キネジオロジーの立場から,この問題の解明を試みた.1.完全に訓練したエアデール犬に, トレッドミルにより,60m/min.の常歩運動walkを賦課し,(1)50種類の骨格筋の筋電図,(2)16mmシネカメラによる1完歩の連続引伸ばし印画,(3>引伸ばしフィルム上で計測した13カ所の傾斜角および関節角のダイアグラム,および(4)サイクログラムの4種類の方法を用いて,當歩運動における個々の筋の働き方,四肢関節周囲筋の協同運動および前後肢の働き方の相違などについて論議した.2.躯幹と肩帯を結ぶ筋の多くは,スタンス期に抗重力的に活動する.3.上腕三頭筋(M.tricepsbrachii)の長頭(caput10ngum)が,外側頭(caputlateralc)および内側頭(caputmediale)と筋の活動位相を異にするのは,それが2関節性筋のためである.長頭はスイング期に肘関節の伸筋として,外側頭および内側頭はスタンス期に肘関節の固定筋として活動する.膝関節における2関節性筋である大腿直筋(M.rcctusfemoris>と外側広筋(M. Vastuslatcra11s)および内側.広筋(M.vastusmedia11s)のあいだにも同様の現象がみられる.なお,上腕二頭筋(M,bicepsbrachii)は,スタンス期に活動を持続するので,スタンス期における肘関節は,両側性に固定されることになる.4.前肢の筋の活動様式は,後肢のそれに比べるとはるかに複雑である.これは,前肢がpropel-1crとしての働きよりも,balanccrとしての働きがより強いことを示している.5.後肢には,スイング期後期からスタンス期前期にかけて活動する筋が多い.前肢では,重心線からもっとも離れた位置に肢端が着地するので,着地から負重までに免重期間が存在し,その間に,賦課に対応する支柱としての構築を組み上げればよい.これに対して,後肢では,重心線にもっとも近い位置に肢端が着地するので,着地と同時に負重に対処しなければならぬから,すでにスイング期後期に,賦課に対応する構築を作っているためである.

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