1990 年 52 巻 6 号 p. 1219-1227
1988年11月~1989年5月に本邦の66牧場で発生したウシ乳房炎より分離したブドウ球菌を同定した結果S. xylosusが最優勢菌種であった. その他の主要菌種はS. aureus, S. sciuri及びS. hyicusであった. β-lactamaseの陽性率はS. xylosusで71.7%, S. aureus45.7%, S. epidermidis71.4%であった. β-lactamase陽性のS. aureusのほとんどが高度産生株であったのに対して, S. xylosusはすべて低産生株であった. S. aureus全株のmethicillin, cloxacillinに対する最小発育阻止濃度は, それぞれ6.25μg/ml, 1.56μg/ml以下に分布しており, methicillin-resistant S. aureusは検出されなかった. その他の菌種も6薬剤に対して医学領域でみられるような耐性を示さなかった. しかし, penicillin G, ampicillinの抗菌力はmethicillin, cloxacillin, cefazolin及びcefoperazoneに比べてβ-lactamaseの影響を強く受けた.